aki_omp2004-10-09

宮部みゆき『天狗風 霊験お初捕り物控(二)』を読了
さて、長編2作目となったお初の捕り物控
本作は、神隠しとなった人を探す為にお初ちゃんが動き出します




(ネタバレあり)
もう、私的にキャラクタもかなり浸透してきて、話自体の展開もあれよあれよと飽きさせずに進むので、ついついページを捲る手が止まらなくなる。
かてて加えて、本作に登場した鉄と言うキャラと初の絡みが楽しいのが更に楽しく読める。
さて、この鉄と言うキャラは実は猫。
本作ではお初は猫と会話をしてしまうのです。
はっきし言ってここまで来ると魔女っ娘です、海外ドラマでやってたサブリナです、又はローティーン向けの少女漫画にある様な魔女っ娘モノですこれは。
(とか言いつつ面白くもあるのですが。)


とまぁ、更に萌えっぽい要素を取り入れながらも結構面白いのですが、多少の不満はある。
それは何かと言うと、やはりラストが少し物足り無い。
どうも、話の内容が明確過ぎるのだ。
美しさとは何か、をちょっとしたテーマの様に扱っているのだけど、それを最後はかなり言及して結論を出しているし、
ラスボスとの闘いも、完全にファンタジーの世界と言って良い異世界が舞台になっている。
それはそれでも良いのかも知れないけれど、せっかく和的な舞台を用意してあるのだから、その辺はキチンと線引きするのでは無く、境界的な事をウマク取り入れて欲しかった様に思う。
その取り入れて欲しかった事は何かと言うと、あの世でも無くこの世でも無いその間にある虚ろな世界、理屈で割り切る事が困難な人間の矛盾に関する事柄。
そう言った事を書いてくれれば読み終わった後ももっと余韻が残った様に感じる。
その辺りの世界観が本作で見せてくれない事が少し残念だ。
とは言え、割り切れない様な事でもちゃきちゃきしたお初に掛かればすっきり解決してくれると言うのも本シリーズの魅力ではあるのだけどね。
★★★★