aki_omp2004-10-29

サラ・ウォーターズの「荊の城」を読了。
★★★★☆
19世紀半ばのロンドン。17歳になる少女スウは、下町で掏摸を生業として暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師の通称「紳士」がある計画を持ちかける。
とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。
スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウは迷いながらも、話にのることにするのだが…。
CWAヒストリカルダガーを受賞した、ウォーターズ待望の第2弾。





いやぁ〜エロイよ、この小説、エロさ全開って感じで読んでて思わず身を捩るねコレ。
まさにサラ・ウォーターズの百合節全開だもん。
とにかく、話のムードもタイトロープを渡っている様な緊張感が終始あるので出てくるエロ描写に逐一ドキドキハラハラする。
当然、この小説はエロだけじゃなくて、一級のミステリィサスペンスの面白さもあれば、
冒険小説の様なハラハラさせる展開もあり、一粒で3種類ぐらいの面白さがあるのも良いところ。





以下ネタバレ














少し難点を言うとするならば、少し短いかなと思った。
何故かと言うと、やっぱり最後の結末についてもっと時間をかけて丁寧に書き込んでいって欲しかったから。
その描いて欲しかったと言うのは、
一つには母ちゃんのモードとスーザンに対する感情の差異や覚悟。
この辺をもっと書いてくれれば、何か読んでて更に感じる所があったのじゃないかなとは思う。
ま、この話の本筋が少し母ちゃんの側には無いから、ザックリその部分を書かなかった事が逆に潔いと言えなくも無いのだけども。
それと、紳士の最後の所の展開、あれも少し安易すぎるかなぁとも思えた。
もう少し色んな感情が沸騰寸前と言うところまで行ってあの展開ならばもっと良かった様に思う。
とは言え、これだけ一気にわき目も振らずに読ませて、こんだけエロくて、面白くて目の話せない小説ってのも中々無い様には感じた。